2024年5月10日遅霜の影響

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醸造

2024年5月10日、信じられない光景が目の前に、しかもスマホ越しに・・。確かに警報は出ていました。9、10日あたりが危険だ、もしかしたら奴がくるかもしれない。しかしこの日は1か月前から決まっていたイベントがあり、そこに向かう途中の電車の中で、家内から送られてきた画像を見て、全身が固まりました。

「いにしぇの里葡萄酒」の畑がある北小野地区は、いにしえの頃より果樹不毛地帯と呼ばれ、葡萄に限らず、果樹栽培が行われてきませんでした。その一番の理由が霜です。2022年には10/20の「早霜」で収穫の遅い品種に影響が出ました。しかし、晩熟ワイン用葡萄品種が、ある意味特殊であり、リンゴを別にすれば桃、梨、プラム、生食用葡萄など10月後半に収穫をする果樹は殆どありません。その為、早霜の影響は限定的と言えるかもしれません。

果樹不毛地帯と呼ばれる本当の理由は、今回見舞われた「遅霜」です。

北小野地区ではこれまでも2~3年に一度といった感じで、5月に入ってからの遅霜に見舞われることがありました。それでも芽吹きの早い、シャルドネやケルナーといった品種で、限定的に被害が出るという状況でした。2022年は5/3~5日に、2023年も5/12に冷え込み、シャルドネの一部に被害が出ましたが、そこまでの影響はなく、その他の品種に至ってはまだ芽が出るか出ないかという段階。というのが例年の傾向でした。

しかし、今年含めここ数年は1月、2月の冷え込みが和らぎ、3月から4月初旬にかけて一度寒の戻りはありますが、4月中旬~下旬は20℃越えの日が続き、最高気温も27~28℃まで上がりました。2024年4月の平均気温13.6℃(塩尻市)は、ここ15年で最も高く、暖かくなっていると感じます。

北小野地区での葡萄栽培はこう言ったリスクも考え、早熟品種のケルナー、ピノ・ノワールから晩熟品種のカベルネ・フラン、リースリングなど様々な品種を植える事で、萌芽の時期をずらしリスク分散をしてきましたが、暖かくなるのが早くなり、晩熟品種も例年より早く萌芽が始まった為、今年は大きな被害となってしまいました。

前日まで目に鮮やかな新緑に覆われていた畑が、茶一色に染まった光景は、葡萄農家にとってはまさしく地獄絵図・・未だに脳裏に焼きついています。一時は全滅、樹も枯れはて、今年はもちろん来年からどうしようと背筋が凍りましたが、葡萄は逞しく、2番芽、幹からは不定芽が出てきてくれてパッと見には例年と変わらない状態まで復活してくれました。しかし、新梢の成長速度がバラバラな為、同じ樹の中でも房の大きさが様々であったり、不定芽には房がつかなかったり、新梢の数が少ないため樹勢が強すぎて花振るいを起こし、房が一つもついていない樹もあります。特に白品種はかなりの収量減となりそうです(泣)

毎年マスカット・ベーリーAとブラッククイーンを頂いている果樹栽培家の小松さんに、この話をした所、直ぐにメルローを栽培されている農家さんを紹介して頂きました。また、芽かき作業が無くなった為、6月後半は小松さんの畑で、初めて生食用葡萄の摘粒作業を経験することが出来ました。私は午後の5時間程度でしたが、朝から夕方まで立ちっぱなしで、ひたすら房の粒をハサミで切っていく作業はとても大変で、腰はもちろんですが、腕を上げっぱなしなので、翌日は肩がパンパンでした・・。生食用は見た目も大切なので、5㎜位の粒が大きくなった姿を想像し、バランスを考えながら形を整えていくのは思った以上に集中力が必要で、初日はかなり疲れました。「信州塩尻コマツファーム」我が家の子供達も瞬殺するシャインマスカットとクイーンセブン(私がほんの一部摘粒をお手伝い)甘さ、美味しさはもちろんのこと、皮が薄く食味がとっても良いです。見かけたら是非食べてみて下さい!!

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