「ワインなんか作ったって売れねぇよ!」
第四回目の講義は2014年8月22日~23日。8月に入り本格的に実地作業が増えてきまして、午前中は元塩尻志學館高校講師の高山先生が管理する古厩園にて「果実調査、除葉作業、摘心作業」がありました。自分の畑は垣根式でしたが、ここ古厩園は塩尻では割とポピュラーな棚栽培でメルローを育てていました。垣根では移動式の椅子に座って除葉、適房などを行うのに対して、上を向いて両手を上にキープしながらの作業は結構な重労働だなと感じました。現在では新たにワイン用葡萄を始められる方は、基本的には垣根式が多いと思いますが、古くから葡萄栽培が盛んな塩尻市では欧州系品種を含め、ナイアガラやコンコードなど棚栽培が多く、高齢になってからのこの作業は大変だろうなと思いました。とはいえ、ここ数年ナイアガラが入手困難になってきたので、北小野の自園でも棚栽培でナイアガラを少し作ろうかなと考えているところなのですが・・どうなることやら。
午後は塩尻志學館高校にて「果汁分析」ということで、いにしぇの里葡萄酒の立ち上げ時に大変お世話になった、独立行政法人酒類総合研究所、高橋千秋先生の初めての講義がありました。これまでの講義は座学や葡萄畑での作業がメインでした。言ってしまえばただのナイアガラジュースの分析なのですが、ここにきてついにワイン醸造に携われた感があり、大人げなく少々テンションが上がってしまいました。実際に志學館の生徒達が使っている機器をお借りして、果汁を絞り遠心分離機にかけ清澄させ、総酸値やPH、資化性窒素の分析を行いました。作りたいワインのイメージを想像しながら、どのような葡萄を栽培すればよいのかを考えました。糖と酸はその割合いにより、感じかたが変わります。酸が高いと糖度があってもあまり甘さを感じません。官能だけに頼りすぎずに、数値を出してみるとそれがよく解かり、分析の重要性を学びました。
翌日は初のワイナリー見学。午前中、須坂の果樹試験場を見学し、昼食後に北信のワイナリーに到着しました。畑を見せて頂きながら、栽培品種、仕立て方や地域の気候、それに伴う対策などを聞き、ワイナリーに移動して講義を受けました。その第一声で飛び出したのが冒頭の言葉でした。ワイン作りを学びながらワイナリー設立を目指す受講生に向けて放たれた衝撃的なこの言葉は、私の頭の中をグルグル回りだしました。お話を伺った2014年当時は絶好調だということでしたが、設立当初は全く売れず、年々倉庫に何万本もの在庫が積み上がり、資金繰りのために銀行を飛び回り、夜も眠れなかったと。こういったワイナリー経営者の方の実体験、特に失敗談などは、これからワイナリー設立を目指す者にとっては、かけがえのない貴重な戒めとなり、今も常に頭の片隅にあります。
…to be continued