いにしぇの里物語り 14話

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醸造
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徹底的・・

レインプロテクション設置と共に、坪田さんに教えて頂いたもう一つの大切な作業が「選果」です。

イタリアのバローロに感銘を受け、ワインの世界に入られたという坪田さんは、とにかく薄いワインは飲む気がしないと仰っていました。そのため、全ての葡萄の収穫時期がとても遅く、完熟し葡萄に含まれる成分が凝縮してからでないと収穫しませんでした。

遅くするともちろん糖度や熟度は上がりますが、反面酸度も急激に下がり、耐病性が落ちます。秋雨や台風に晒される事も多くなるので、水分を含み玉割れも起きやすくなります。通常はそれを避けるために、台風や雨、病気が発生する前に収穫してしまいます。するとどうしても熟しきれずに、飲みやすい軽い口当たりのワインになってしまうのです。VOTANO WINEさんではそれを許さず、限界ギリギリまで引っ張っていました。

そこで、徹底的に行われるのが「選果」作業です。

収穫時に畑でも病果を落としましたが、ワイナリーに持ち帰ってから更に、1かご1かご、1粒1粒、丁寧に選果をしていきました。病果は当然ですが、

「こうやって光に透かすと赤く、熟していないものがあるから、それも入れないでね」

「こうやって張りがあるのは、まだまだだね。房を持った時、スッと手に馴染むものが熟している証拠なんだよ」

途中から参加した時などは、積んであるコンテナを取ろうとして「あっ、それ選果したもの、そっちから取って」と言われ、はっ、と見ると50~60c/sが山と積まれていて、絶句した事を思い出します・・(これゼンブ?!)

こうして丁寧に丁寧に、熟した葡萄のみを醸すと、濃密で凝縮したエキスを感じる坪田さんのワインになるのだと、実感しました。時々、ワイナリーに居るときに「これ1か月前に撮影で抜栓したやつ」と言って飲ませて頂いたワインが、全く劣化してなくてビックリした事もありました。その中でも3ヶ月前に開けたピノ・ノワールだよ、と言って飲ませて頂いたワインは本当に美味しく、葡萄本来の力を引き出せるとここまで置いても楽しめるのかと、感動した事を今でも覚えています。

…to be continued

 

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